熊本大学では全1年生を対象に情報分野における基礎的な知識と技能の習得を目標とした教育体制が平成14年度より継続的に実践されている. 総合情報基盤センターが主体となり実施されるこの情報基礎演習科目は全1年生を対象に「情報基礎A・B」として開講されている.
本学における全学向け情報教育の近況について報告する.
情報基礎A・Bは,本学の全1年生を対象にそれぞれ前学期及び後学期に開講される情報基礎演習科目である. 情報基礎A・Bでは,平成15年度前学期よりLMS(Learning Management System)としてWebCTが導入されており,テキスト(独自に作成したオンラインコンテンツ)の提示や課題の提出,確認テスト(オンラインテスト)等に活用されてきた. 平成20年度は全学LMSが従来のWebCT CE4よりBlackboard Learning System CE6(旧WebCT CE6)へと更新(メジャー・バージョンアップ)されたため,これにあわせて情報基礎A・Bのコンテンツも新LMSへと移行が行われた. 旧LMSから新LMSへの変更点は多かったものの,LMS更新後の初年度も情報基礎A・Bに関しては4月から通年にわたり特に大きな障害もなく実施された.
平成20年度は,「情報基礎A」が27クラス約1820名の受講者で,「情報基礎B」が27クラス約1830名の受講者で構成され,それぞれ12名及び13名の教員(ともに内非常勤3名)が講義を担当した. 情報基礎Aが開講される6月には大雨洪水警報の発令に伴う(全学的な)休講措置が行われ,水曜午後の受講者がその対象となった. これらの受講者には休講となった週の内容に相当する課題が別途課せられた.
情報基礎A・Bでは各学期末の講義終了時に受講者(学生)へのアンケートをLMS上で実施している. ここでは平成20年度に実施したアンケート結果の一部を示す.
質問1 フォルダの新規作成、ファイルのコピーとペーストや移動、ファイルやフォルダの削除などの操作を行えますか?
質問2 ソフトウェアを利用して、文章、静止画だけでなく、アニメーションなど動きのあるプレゼンテーション資料を作成できますか?
質問3 Web検索において、AND検索とOR検索を適宜、使い分けることができますか?
質問4 情報基礎Aでは多くのことを学習してきました。あなたが良かった、面白かった、役に立ったと思える回を3つあげてください。
図5の縦軸は全回答に対する各選択肢の割合を示す。
質問5 あなたは大学入学以前に(中学校、高校、自宅などで)、 Webページを作成したことがありましたか?「ある」場合は「いつ/どこで」を、「ない」場合は「ない」を選択してください。
質問6 情報基礎B第11週で利用したLinuxについてお尋ねします。 Linuxを利用したのは初めてですか?
質問7 情報基礎Bでは、Webページ作成における基礎事項として、 HTML、CSS、JavaScriptを学習しました。あなたにとって、難しく感じた学習内容の順番をお教えください。選択肢は、「易しい -> 難しい」の順に並んでいるものとお考えください。
質問8 Webページ作成の学習であなたがもっと学習してみたいことがあればお聞かせください。複数回答は可能です。
図9の縦軸は全回答に対する各選択肢の割合を示す。
今回のアンケートで回答した情報基礎A・Bの主な受講者は1年生であるが,この平成20年度入学の1年生は高等学校で教科「情報」を履修するようになり3年目の世代に相当する. これらの結果は情報基礎A・Bの講義・コンテンツ改善のために今後役立てる予定である.